春は大気が安定
2020年の9月以降、月や惑星(木星・土星・火星)の撮影をしていると、シーイングが悪い日が多くなかなか思ったような画像を得られない状況が続いています。
でも、4月から5月は、もう少し気流が落ち着いた中で月を見ていた記憶があります。
SNSにアップした画像を見ると、当時の物より最近の物の方が良い画像です。
そこで、画像処理前の画像を改めてチェックしてみました。すると、やはり最近撮影したものより元画像は良いのです。
一般的に、春は少し霞みかがったような晴れの日が多いのですが、反面そんな日の方が大気が安定していてシーイングが良い傾向があります。反対に透明度が良く星が瞬いて見える日は、シーイングが悪い日です。
画像処理の効果
では、なぜSNSの画像が最近の画像より悪かったのか、それは画像処理によるものだと思われます。
デジカメで撮影した画像は、画像処理ソフトで処理して完成となります。春から何度も撮影をしては画像処理をしてきたことで、画像処理が以前より上手くできるようになったという事だと思います。
たとえて言うと、料理は良い食材があっても、調理が上手くできないと美味しい料理にならないという事と似ています。
下の画像は、最近撮影した元画像と4月に撮影した元画像です。シーイングの違いによって、4月の方がシャープに写っているのが分かると思います。
自分は、月の全体像は、JPEG画像の1枚を使用して、レベル補正・明るさコントラスト・彩度・などを調整して、画像サイズを少し落とした後シャープやおおい焼き・焼き込みをしています。
次の段落で、そのあたりの処理をした画像を紹介します。
月齢5.3の月
4月28日の月は、夕方の月齢が5.3で、三日月と上弦の月の中間位でした。
上弦前の月は南中時刻が日の入り前ですので、日の入り後空が明るすぎない丁度良いタイミングで撮影するのがポイントです。
今回は、まだ画像に空の明るさが写り込んでいますので、少し早いタイミングだったかもしれません。
その分、シーイングには恵まれた形です。
当日撮影した画像を画像処理すると、このような感じになります。
月の名所案内
それでは、もう少し拡大して、月の名所を巡ってみましょう。
月面南部
月面南部は、大小さまざまなクレータが密集していて、とても賑やかな眺めです。
そんな中、神酒の海が縦に長い楕円の形でアクセントになっており、その西側にテオフィルス・キリルス・カタリナとクレータが連なっています。
この3つのクレータは、重なり具合やクレータの縁のしわ、内部の丘など、起伏に富んでいて、大変見ごたえがあります。
その南にはアルタイの崖が連なっていて、南東の端にピッコロミニという中央に丘陵があるクレータがあります。西側には、縁と内部にクレータを持つサクートがあります。
更に南側には、ジャンセンという直径200kmの大きいクレータがありますが、古いクレータなので外周が不明瞭になっています。
南西には、ヒティスクスとフラークがあります。大分月の外周部に近づいていますので、かなり斜めから見た楕円形をしています。
月面北部
月面北部は、クレータが少なくおとなしい感じです。ただ、クレータの縁がシャープだったり、よく見ると無数の小さいクレータや山脈・尾根があり、ただ見るより何かガイドがあった方が楽しめると思います。
この月齢頃の月面北部は、まず晴れの海とその周辺から見て行きましょう。
晴れの海の南には、プリニウスというクレーターがあり、ここは静かの海の領域で回りにクレータがないため、小さいのですが大変目立つクレータです。
晴れの海の東端は多雨留守山脈が連なっていて、円形のクレータとは違い複雑な地形を見ることが出来ます。それに接する晴れの海の東側には、サーペンティンリッジという尾根が連なっています(サーペンティンとは、蛇のように曲がりくねっているという意味とのことです)。
晴れの海の北東側には、ポシドニウスがあります。この中をよく見てみると、小さいクレータがあるのが分かります。
この北側には、アトラス・ヘラクレスの2つのクレータが並んでいます。
今回説明した内容をガイドにして、ぜひ月齢5-6の月面を楽しんでください。
別の日の月の動画を、Youtubeにもアップしていますので、宜しかったらこちらも是非ご覧になってください。
撮影機材
鏡筒
ビクセン FL80S (8㎝フローライト屈折)
赤道儀
Kenko スカイメモNS + タカハシSpace Boy 赤緯体
カメラ
Lumix GX8
拡大レンズ(アイピース)
ペンタックス XP14mm