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ロシアってどんな国?【ロシアの歴史 外交 軍事 経済 気候】

ロシアというと、日本人はソ連時代からの「共産主義」「北方領土」「不可侵条約を破り終戦時日本への侵攻」のイメージを引き続き持っている人が多いのではないでしょうか。

ネットで「日本人のロシアへのイメージ」を調べてみても、「怖い」「信頼できない」というワードが出てきます。

ロシアの首都・モスクワは遠くても、東端のクリル諸島(千島列島)やサハリンは北海道のすぐそば。距離的にはすごく近い国なのに、遠く感じる国。

そんなロシアを、外務省のデータを深堀りしながら紹介します。

ロシアの歴史の流れも簡単に説明しています。ロシアビジネスに興味がある方も是非ご覧ください!!

Nobu

 ロシアの基礎データ

1 面積

約1,710万平方キロメートル(日本の45倍,米国の2倍近く)
(参考:ソ連:約2,240万平方キロメートル 日本の60倍)
(出典:ロシア国家統計庁)

2 人口

1億4,680万人(2017年1月)(参考:ソ連:2億8,862万4千人/1990年1月1日)
(出典:ロシア国家統計庁)

3 首都

モスクワ

4 公用語

ロシア語

(出典: 外務省HP・ロシア連邦(Russian Federation)基礎データ)

ソ連時代から見たら面積は減っていますが、それでも日本の45倍もあるんですね!!
Yumi
チャイコフスキー
ユーラシア大陸の北1/3は、ロシアの国土だ。東西にも長く、一つの国なのに11種類の標準時間がある。
それだけ標準時間か沢山あると、国内移動が大変そう。
Yumi
チャイコフスキー
飛行機での移動が便利だが、シベリア鉄道で7日間かけてモスクワからウラジオストクまで9,289kmを旅することもできる。いずれにしても、その場所の標準時間を把握していないと、乗り遅れてしまうぞ。
ロシアの面積が世界一なのは分かったけど、人口はどうなのかしら?
Yumi
チャイコフスキー
2019年のデータでは、ロシアは第9位だな。

1位 中国(14.3億人)、2位 インド(13.7億人)、3位 アメリカ(3.3億人)。ちなみに、日本は11位(1.3億人)だ。

地方行政区分

連邦構成主体

ロシア連邦は、85の連邦構成主体と呼ばれる地方行政体からなる連邦国家である。連邦構成主体としては、46の「州」(область; oblast')、9の「地方」(край; kraj)、3の「市」(連邦市 город федерального значения; gorod federal'nogo znacheniya)、22の「共和国」(республика; respublika)、1の「自治州」(автономная область; avtonomnaja oblast')、4の「自治管区」(автономный округ; avtonomnyj okrug)がある。ただし、このうちのクリミア共和国とセヴァストポリ連邦市はウクライナと帰属係争中である。

連邦管区

ウラジーミル・プーチン政権は、連邦政府の地方への影響力拡大を図り、85の連邦構成主体とは別に、2000年5月13日に全土を7つに分けた連邦管区を設置した。2014年現在はウクライナと係争中のクリミア連邦管区を含め、9つになっている。連邦管区には連邦大統領の代理人としての大統領全権代表が派遣され、連邦構成主体を監督している。

管区 本部 人口(2010) 面積(km2) 人口密度(人/km2) 備考
中央連邦管区 モスクワ連邦市 38,438,600 650,200 59.12
南部連邦管区 ロストフ・ナ・ドヌ 16,141,100 427,800 37.73 一部であるクリミアとセヴァストポリはウクライナと帰属係争中。国際的には認められていない。
北西連邦管区 サンクトペテルブルク連邦市 13,583,800 1,687,000 8.05
極東連邦管区 ハバロフスク 6,291,900 6,169,300 1.02
シベリア連邦管区 ノヴォシビルスク 19,254,300 5,145,000 3.74
ウラル連邦管区 エカテリンブルク 12,082,700 1,818,500 6.64
沿ヴォルガ連邦管区 ニジノ・ノヴゴロド 29,900,400 1,037,000 28.83
北カフカース連邦管区 ピャチゴルスク 9,496,800 170,400 55.73
クリミア連邦管区 シンフェロポリ 2,342,086 27,161 86.22 ウクライナと帰属係争中。国際的には認められていない。

(出典: Wikipedia ロシア、ロシア連邦の地方区分)

地方行政体って日本の県と同じようなものかしら?
Yumi
チャイコフスキー
現在の日本の県は、「地域的に区分した地方公共団体」だな。

地方行政体は「大幅な自治権を持っている支分国家」で、ちょっと意味合いが違う。州などのトップは知事だが、各省のトップは大臣と呼ばれているぞ。

大臣なんて言ったら、すごくえらく聞こえる!! ロシアの地方に大臣がいるなんて、何か不思議。
Yumi
チャイコフスキー
一番東の極東連邦管区と、その隣のシベリア連邦管区の二つだけで、ロシア全体の66%の面積だ。

しかし、人口はわずか17%。西側の方に、人口が集中している訳だ。

 

 ロシアの歴史

年月 略史
9世紀 キエフルーシの成立
988年 キリスト教国教化(後のロシア正教)
1207年 モンゴル軍の侵攻。「モンゴル・タタールの軛」始まる
1472年 モスクワ大公国のイヴァン3世「全ルーシの君主」と号す
1480年 「モンゴル・タタールの軛」終わる
1712年 ペテルブルク(現在のサンクトペテルブルク)遷都
1917年 ロシア革命
1922年 ソヴィエト連邦成立
1991年 ソヴィエト連邦解体、ロシア連邦誕生(エリツィン初代大統領)
2000年 プーチン大統領就任
2008年 メドヴェージェフ大統領就任(プーチン首相)
2012年5月 プーチン大統領就任

(出典: 外務省HP・ロシア連邦(Russian Federation)基礎データ)

ロシアの起源は、9世紀のキエフルーシーということですね。
Yumi
チャイコフスキー
862年に、ヴァリャーグの長であるリューリクが大ノヴゴロド公となり、9世紀後半にヴァリャーグはキエフ(現在のウクライナの首都)を拠点とした。

この地方はルーシーと呼ばれており、これがロシアの語源だと言われている。

ルーシーが訛ってロシア。英語の綴りだとRussiaなので、語源だというのはより分かりやすい。
Yumi
チャイコフスキー
988年には、キエフ公・ウラジーミル1世が東ローマ帝国からキリスト教を受けて、ルーシー正教会の信徒となった。

その時に、キリル文字などの文化ももたらされたのだ。

なるほど。ロシア正教とかキリル文字は、東ローマ帝国から来てるんですね。

このあと、年表が少し飛んでいるように思いますが。

Yumi
チャイコフスキー
キエフ公国は、ウラジミール1世の息子たちの後、分裂していった。

キエフ公国とモンゴル・タタールの軛

●ウラジミール1世の後のキエフ公国
ウラジーミル1世の死後、後継を巡って息子たちによる争いが起きるが、最終的にヤロスラフ1世が大公となり(賢公)、文化の振興にも尽くした。ヤロスラフ1世は死に際して、子供たちを重要な都市へ配したため争いが頻発し、キエフ大公の権威の低下と諸公の自立が進んでしまう。
1113年に大公となったウラジーミル2世とその子ムスチスラフ1世の時代に、いったんキエフ公国の統一が回復するが、1132年にムスチスラフ1世が没すると、諸公の争いが頻発し、キエフは争いにより破壊されてしまう。荒廃したキエフから、人々は北東のノヴゴロドやモスクワなどへ移住していった。
これにより、ルーシはノヴゴロド公国、ウラジーミル・スーズダリ大公国、ヴォルィーニ大公国などが割拠することになる。
●モンゴルのルーシー侵攻とモンゴル・タタールの軛
ヨーロッパで最も東あるルーシは、モンゴル帝国初代皇帝チンギス・ハーンの治世、遠征の一環として13世紀に侵攻を受けていた。
モンゴル帝国第2代皇帝オゴデイは、1235年西方への大遠征を決定し、チンギス・ハーンの長男ジョチの次男バトゥを総指揮官とする征西軍が東ヨーロッパへ侵攻する。モンゴル軍はルーシへ侵攻し、1237年リャザン、ウラジーミル・スーズダリ大公国、キエフ公国の首都キエフを攻略した。モンゴル軍は、ノヴゴロド公国をのぞく全てルーシを征服し、ルーシの住民はモンゴルへの服属をさせられた。バトゥを家長とするジョチ家は、モンゴル帝国内で自らの自立性を強め、キプチャク・ハン国と呼ばれる。こうして全ルーシはモンゴル帝国の支配下に組み入れられ、ルーシの人びとはモンゴルへの貢納を強制された。このモンゴル=タタールによる支配のことを、「モンゴル・タタールの軛」いう。

●イヴァン3世の登場 (1462-1505年)

イヴァン3世は、侵略・婚姻・相続といった手段で近隣諸国の併合を行い、1472年に「全ルーシーの君主」と号した。

ジョチの正嫡を自任する大オルダのアフマド・ハンは、イヴァン3世に貢納と臣従の再確認を要求して、何度もモスクワに攻め込んだ。1480年10月、アフマド・ハンは、モスクワへの大規模な遠征を開始したが、イヴァン3世はウグラ川に大軍を結集させてアフマド軍の渡河を阻止し数週間後に退却させた(ウグラ河畔の対峙)。これにより、ルーシーが「モンゴル・タタールの軛」から解放された。

その後の1712年までの、年表の空白期間を教えてください!!
Yumi
チャイコフスキー
その後のロシアは、以下のような歴史を歩むのだ。

1480年から1712年までのロシアの歴史

● イヴァン4世の治世 (1533-1574年、1576-1584年)

イヴァン3世の長男が早くに亡くなったことにより、後継者問題が起こる。結局、孫のイヴァン4世が後を継ぎ、「ツアーリー(皇帝)」「ロシア」などの名前が定着する。シベリアに向けての領土拡大も始まる。

1558年からのリヴォニア戦争でポーランド・スウェーデンに敗れ、イヴァン4世の晩年はロシアが荒廃。ロシア史上最大の暴君と言われている。

● ロシアの動乱期

1598年にイヴァン4世の後を継いだフョードル1世が跡継ぎなして亡くなってしまったため、リューリク朝が断絶する。

この後、動乱の時期に入る。

● 1613年にロマノフ朝が成立

ロシア革命まで300年続いた王朝。

● ピョートル大帝の治世 (1682-1725年)

ロマノフ朝を大きくしたのは、ピョートル1世(ビートル大帝)だ。オスマン帝国・スウェーデン等との戦いを制し、内陸国であったロシアが、海へ進出することが出来た。不凍港を獲得するための政策を、「南下政策」という。これは、後々日本との関係にも影響を及ぼしてくる。

ビートル大帝は、1712年にぺテルブルグ(サンクトペテルブルグ)を建設し、ロシアの首都として遷都する。

年表の空白が繋がりました!! 次もまた200年空いていますが・・・?
Yumi
チャイコフスキー
次の200年は、ロシアにとって色々なことがあった時代だ。

1712年から1917年までのロシアの歴史

● 女帝・エカチェリーナ2世の治世 (1762-1796年)

内乱の制圧や露土戦争・ポーランド分割等で、領土を拡大していく。

1792年に、大黒屋光太夫を伴いラスクマンが通商要望親書を持ち根室に到達したのも、女帝の時代。

● アレクサンドル1世の治世 (1801‐1825年) と祖国戦争

ナポレオンのロシア侵攻(祖国戦争)
1812年6月にフランス軍はロシアに侵攻し、ロシアは焦土作戦で迎え撃つ。9月、ナポレオンはモスクワに入城するが、モスクワに大火が発生し、ナポレオンは撤退する。ロシア・コサック騎兵の追撃と「冬将軍」により、60万人のフランス軍は5000人しか帰国できず大敗。

1815年、ワーテルローの戦いで完敗したフランス・ナポレオンに代わり、欧州一の君主となったアレクサンドル1世だが、ロシア国内に問題を抱えたまま1825年に突然崩御。

後を継いだニコライ1世は、国内の不満の目をそらすため対外戦争を始めるが、1853年にオスマン帝国との間で発生したクリミア戦争で敗北してしまう。

● アレクサンドル2世の治世 (1855-1881年)

アレクサンドル2世は、戦争の敗因をロシアの後進性と考え、1861年に農奴解放令を発令。これらの人々が労働力となり、ロシアの工業発展やシベリアへの移住が進む。

1871年には、女性が公務員になることが許可。これはヨーロッパ他国に比べて先進的な事。

アジアへの本格的な進出が拡大。中央アジアでは各国を占領・保護下に置くなどして、綿花栽培の拠点とした。更に東に進出し、清国とのいくつかの条約を締結して、1860年に沿海地方と念願の不凍港・ウラジオストクを獲得。

日本と1875年に樺太・千島交換条約を結び、両国の国境を確認。これが今の北方4島(北方領土)に関する根拠となっている。平和裏に締結した条約であるので、千島列島全体が今も日本領土ではないかと主張する人達もいる(日本共産党)。

外に拡大していくロシアだが、社会主義を志す人たちが増え、ついには1881年テロでアレクサンドル2世が暗殺されてしまう。

● 最後のロシア皇帝・ニコライ2世 (1894-1917年)

内政ではフランス外資による重工業化とシベリア鉄道の施設、外に向けては極東への南下政策推進で満州への進出・遼東半島を拠点に朝鮮への進出検討。

1994年に日清戦争で勝利し遼東半島を獲得した日本に対して、フランス・ドイツと共同して返還を強要(三国干渉)。

臥薪嘗胆して軍備を蓄えた日本が、1904年2月に旅順のロシア艦隊に攻撃をし、日露戦争が始る。

自国に近い戦地への補給・同盟国イギリスの協力・ロシア現場指揮官の折り合いの悪さ・ロシア国内での士気の低下などが原因し、大方の予想を裏切り日本は連戦連勝を重ねた

これにより革命の機運が高り、1905年1月9日、民衆がニコライ2世への嘆願書を携えてサンクトペテルブルクの冬宮殿前広場に近づいたときに、兵士が群衆に発砲し、2,000 - 3,000人の死者を出す惨事(血の日曜日事件)。民衆の心は皇帝から離れてしまう。

日露戦争は日本有利で進み、1905年2-3月の奉天会戦、1905年5月の日本海海戦と陸海共に日本が勝利。アメリカのセオドア・ルーズベルトが調停に乗り出し、1905年9月にポーツマス条約が結ばれた。

ロシアは、イギリス・フランスと三国協商を結び、極東からバルカン半島に興味を切り替える。
そして、1914年のサラエヴォ事件をきっかけに、第一次世界大戦が勃発する。

 

激動の200年ですね!!そして、いよいよロシア革命。
Yumi
チャイコフスキー
ロシアは連合国側として、ドイツへ侵攻する。しかし、戦争は長引き、国民の不満は増大していくのだ。

ロシア革命とロシア内戦

● 2月革命

1917年3月、婦人たちのデモをきっかけに「戦争反対」「専制君主制打倒」の声が高まりゼネストが発生し、兵士の反乱も起こる。ニコライ2世は事態の収拾が不可能なことを理解し、退位する。ここに、300年余り続いたロマノフ朝が終焉を迎えた。立憲民主党(カデット)主導の臨時政府が成立。

● 10月革命

社会主義左派勢力ボリシェヴィキが、多数の労働者や兵士らを扇動し発生した革命。ボリシェヴィキ主導のソビエト(労働者・農民・兵士の評議会)へと権力が集中。

● ロシア内戦(1917-1922年)

1918年にドイツと締結したブレスト=リトフスク条約は、バルト三国・ベラルーシ・ウクライナにあたる広大な領域をドイツに割譲する極めて厳しい条件。この条約に刺激され、ロシアの内外で反ボリシェヴィキ運動が活発化し内戦が始まる。主に赤軍(共産主義者・十月革命側)と白軍(ロシア右派、共和主義者、君主主義者、保守派、自由主義者)の間で戦われた。地域によっては、緑軍(社会革命党系、農民パルチザン)や黒軍(アナーキスト)等が参加する場合もあった。白軍には英仏日米などの協商国(赤軍側からは「干渉国」)が支援。赤軍の勝利で終結。

ロシア内戦って日本ではあまり認知度がないような気がします。そして、いよいよソビエト連邦の成立ですね。
Yumi
チャイコフスキー

ボリシェビキはロシア共産党と改称し、1922年に共産党の一党独裁によるソビエト社会主義共和国連邦を建国。世界初の社会主義国家の成立だ。

ソ連成立~第二次大戦~東西冷戦

● ソビエト連邦の成立

1922年、ボリシェビキの中心的な立場にあったレーニンが脳出血で倒れ、スターリンがロシア共産党の書記長に就任。同年12月に第1回ソビエト連邦全連邦ソビエト大会が開催され、12月30日にソビエト社会主義共和国連邦の樹立を宣言。

1928年からの第一次五カ年計画(鉄鋼生産・農業の集団化・工業化)やコルホーズなどの農業集団化を推進。一方で、スターリンの党内大粛清が激化。

● 第二次世界大戦

既にフランスなどを攻略し、ヨーロッパを席巻していたドイツは、1941年6月にバルバロッサ作戦を発動し独ソ戦が勃発。首都モスクワの近くまで攻め込まれるが、連合国側のアメリカやイギリスから支援を受け、冬の寒さや補給難に苦労するドイツ軍に対して戦局挽回。

1945年5月、ソ連軍はベルリンを陥落、ドイツを降伏に追い込む。

1945年8月8日に、日ソ中立条約を破棄して対日宣戦を布告(連合国首脳によるヤルタ会議における密約による)。ソ連軍は日本の千島列島・南樺太・朝鮮半島北部・満州国に侵攻。現在に至るまでの日本との関係に、問題を残した。

●東西冷戦と代理戦争

戦後、ソ連は東ヨーロッパ諸国をソ連の衛星国とし、ワルシャワ条約機構における中心的な地位で、アメリカ合衆国を中心とする資本主義陣営(西側諸国)陣営に対。さらに、朝鮮戦争・ベトナム戦争などの代理戦争という対立を生んだ。中国とも、対立関係となる。

●社会主義の問題の顕著化

1979年12月、ソ連のアフガニスタンへ侵攻は世界からバッシングを受け、1980年のモスクワオリンピックのボイコットへ繋がった。

1980年代に入り、国民は西側諸国の豊かさと自由への憧れから、体制への不満を強めていく。農業不振が慢性化し、経済の悪化・技術競争でのアメリカや日本への遅れという状態となる。

●ペレストロイカ

1985年3月に誕生したゴルバチョフ政権は、深刻化した経済的危機の対応として社会主義体制の改革・刷新・ペレストロイカ(改革)を推進。
国民からは民主化への要求が起こり、1990年にはソ連共産党による一党独裁制の放棄・複数政党制と大統領制の導入が決定され、同年3月選挙によってゴルバチョフが初代ソ連大統領に選出。

一連の改革には成果が見られたが、共産党は急進改革派・穏健改革派・保守派に分裂、経済は更に悪化。

●冷戦の終了とエリツィンの台頭

1989-1990年には、東ドイツ・ハンガリー・ポーランド・チェコスロバキア・ルーマニア等の衛星国が相次いで民主化を達成。また、リトアニア・エストニア・ラトビアが、連邦からの独立を宣言。1989年、ゴルバチョフとアメリカ・ジョージ・H・W・ブッシュ大統領が会談し、正式に冷戦の終結を宣言した(マルタ会談)。

1990年5月、全人口の約半分を占めるロシア連邦共和国最高会議議長に、急進改革派のエリツィンが当選。ゴルバチョフは連邦が持っていた権限を各共和国へ大幅に移譲、主権国家の連合体として連邦を再編する新構想を提示。

ソ連成立の後の70年弱の間に、ものすごい変化がありますね。
Yumi
チャイコフスキー
そして、現在のロシア連邦へと流れがづいていく。

ロシア連邦の成立とプーチンの長期政権

●ソ連の崩壊

新連邦条約締結が、権力基盤の喪失に結びつくことを危惧したヤナーエフ副大統領ら8人の共産党中央委員会メンバーらが、1991年8月19日にクーデターを起こし、ゴルバチョフを軟禁した。これに対して、エリツィンら改革派がこれに抵抗、軍・国民・主要国もクーデターを支持せず、失敗に終わる。
共産党とゴルバチョフの権威は失墜し、ゴルバチョフは共産党書記長を辞任し、ソ連共産党は事実上の解体となった。
12月1日のウクライナ国民投票では約90%が独立を支持、ソ連崩壊の流れとなった。新たに独立国家共同体(CIS)が創設され、連邦各国はCISに加入した。12月25日にゴルバチョフはソ連大統領を辞任し、最高会議も連邦の解体を宣言、ソビエト連邦は崩壊した。

●ロシア連邦の成立

ソビエト連邦崩壊に伴い、ロシア連邦が成立し、エリツィンがロシアの初代大統領に就任。ロシア連邦は、ソ連の国際的な権利や法関係を継承した。

資本主義経済を導入したが、ロシアの経済は混乱・低迷した。

●プーチンの登場

エリツィンはプーチンを後継者とし、1999年8月に首相に任命した。チェチェン紛争の制圧などに辣腕をふるい、「強いリーダー」として支持を得た。同年12月31日に健康上の理由で引退を宣言したエリツィンにり、大統領代行に指名された。「強いロシア」の再建を目標とし、中央政府の権限を強化、2000年5月、ロシア全土85の地域を7つに分けた連邦管区を設置、各地域の知事を大統領全権代表に監督させた。

2004年からの2期目では、原油価格の高騰よりロシア経済は成長した。エネルギー依存からの構造を目指し、プーチンは2005年7月に経済特区に関する連邦法に署名した。

2008年からはメドベージェフ大統領・プーチン首相の体制となったが、事実上の最高権力者と見られていた。

2012年からは大統領に復帰した。2013年以降原油価格の暴落が続き経済的に厳しい状態となった上に、2014年のクリミア侵攻による欧米諸国の経済制裁も経済に影響を及ぼしている。
一方で、中国との連携を強めており、ロシアの国際社会での影響力を示している。

ロシアの歴史、流れに沿ってこんなに詳しく聞いたのは初めてです!!とても勉強になりました。
Yumi
ロシアの歴史をもっと知りたい人は、ユジノサハリンスクにある「Historical Park Rossiya - Moya Istoriya」がお勧め!!

CG等を使ったビジュアルで、もっと詳しく知ることが出来ます!!

Nobu
チャイコフスキー
突然出てきたな・・・ユジノサハリンスクのHistorical Park Rossiyaは、確かに素晴らしい所だ。

ただ、ロシア語の説明しかないので、通訳を連れて行った方が良いな。

今回教えていただいたロシアの歴史の流れと人物の名前を、少し頭に入れておくと、より楽しめると思います。
Nobu
私も行ってみたい!!
Yumi

 

 ロシアの外交

全般

多極化世界の追求
世界の多極化とロシアの大国としての地位強化を目指す。BRICS,G20,上海協力機構等の多国間枠組みで活動を活発化。
ユーラシア統合
CIS,集団安全保障条約機構,ユーラシア経済同盟等を通じて旧ソ連圏の結束・強化を図る。
経済低迷からの脱却の試み
2014年以降の経済低迷からの脱却策の模索,産油国との連携,デジタル経済の推進。
アジア太平洋地域への統合
発展するアジア太平洋地域との経済的結びつきを強化することで極東・シベリア地方の開発を促進。

(出典: 外務省HP・ロシア連邦(Russian Federation)基礎データ)

ロシアの歴史を理解してから外交の方針を見ると、見え方が違いますね!
Yumi
チャイコフスキー
ロシアはソ連時代のように、大国として世界の中で影響力を持ちたいということだな。

地域的には旧ソ連圏と極東・シベリア、分野的には原油の価格やデジタルを、重視しているということだ。

国土の66%だけど人口も少なくまだこれから開発の余地がある極東・シベリア。

日本とロシアの関係は、この辺りがポイントかも知れませんね。

Nobu

米国
メドヴェージェフ政権時には,米露関係の改善をめざすオバマ政権の方針(米露関係の「リセット」)の下,新START条約(戦略兵器削減条約後継条約)締結等,一定の成果が見られた。しかし,特に第三期プーチン政権発足後のロシア国内での締め付け強化や欧州MD配備問題,2014年のクリミア「併合」を含むウクライナ情勢及び関連の制裁措置等を受け,米露関係は悪化
2017年1月に就任したトランプ大統領はテロ対策やシリア情勢でロシアとの協力を模索。2017年7月のG20におけるプーチン大統領とトランプ大統領の初めての首脳会談が,本格的な首脳対話は進まず,2017年8月,米国において対露制裁を含む制裁法が成立すると,両国関係改善の見通しは再び遠のいた。2018年3月のロシア大統領選挙後に米露首脳電話会談が行われ,トランプ大統領からプーチン大統領の再選に祝意が述べられる一方,米国は,英国における元ロシア情報機関員襲撃事件を受け,60名のロシア外交官の国外追放措置を決定。また,米国内の対露観は厳しく,今後の米露関係の展望は依然不透明

(出典: 外務省HP・ロシア連邦(Russian Federation)基礎データ)

米露の関係は、トランプ政権になってから特に悪くなったという感じ。
Yumi
ネットでは、中国・ロシア・北朝鮮を「レッドチーム」という人がいるけど、ロシアはまだ共産圏のイメージがあるってことだね。
Nobu
チャイコフスキー
確かに、米国・中国・ロシアの関係や駆け引きは、日本としては気になるところだろう。

EU/NATO
(1)EU
ウクライナ情勢,マレーシア機撃墜(2014年7月),英国における元ロシア情報機関員襲撃事件等を受けて対立が先鋭化する一方で,依然として最大の経済パートナー。特に中・東欧諸国はロシアのエネルギーに大きく依存。
(2)NATO
ロシアは,2015年12月に改定した安全保障戦略の中で,ア NATOの軍事的潜在力の増強,イ NATOへのグローバル機能の付与,ウ (同盟)ブロック国の軍事活動の活発化,エ 同盟の拡大,オ 同盟軍事インフラのロシア国境への接近をロシアに対する脅威と記述。これに対し,NATOは2016年7月に行った首脳会合で,東方のNATO同盟国(エストニア,ラトビア,リトアニア及びポーランド)における軍事プレゼンスを強化することを決定している。
2014年のロシアによるクリミア「併合」を受けて露・NATO間のすべての実務的な協力が停止されていたが,2016年4月には2年ぶりに露・NATO理事会大使級会合が再開され,立場の相違は認めつつ一定の対話が行われている。

(出典: 外務省HP・ロシア連邦(Russian Federation)基礎データ)

米国よりも少しだけ関係は悪くないという感じかしら。
Yumi
とはいえ、陸続きで過去の歴史を見てもいろいろな争いがあったわけだから、慎重に対応するという事だと思う。
Nobu
チャイコフスキー
EU/NATOから見たらこれ以上強引な事をするな、ロシアから見たらロシア向けに軍事強化や制裁はするなと言った感じだな。

CIS諸国
ロシア外交の最優先地域。ロシアは,独立国家共同体(CIS)に加盟する旧ソ連の諸国を,伝統的な友好善隣関係や歴史的なつながりによって結ばれた特別な国々とみなして積極的な外交を展開している。
また,ロシアは上海協力機構(SCO)といったCIS以外の多数国間枠組みも活用。2015年1月には,ユーラシア経済同盟が創設され,中国が「一帯一路」の一環として進めるシルクロード経済ベルト構想との接合に向けて調整を行うなど,地域を超えた関係強化も志向している。2016年以降はユーラシア経済同盟と中国,インド等を含む経済圏として「大ユーラシア・パートナーシップ」構想を積極的に発信。安全保障上は,集団安全保障機構(CSTO)を引き続き重視。
(注)独立国家共同体(CIS):1991年,バルト諸国を除く旧ソ連諸国が外交問題の調整等を行うため設立。2005年,トルクメニスタンが加盟国から準加盟国へ。2009年,グルジアが脱退

CIS諸国が一番重要な地域って、まずは親戚から見たいな感じかしら。
Yumi
仲の悪い親戚もいるけどね。

ユーラシア経済同盟は加盟国がロシアを入れて5か国、まだ機能していない気がする。

ユーラシア経済同盟 加盟国

国名 署名日
ロシア 2014年5月29日
ベラルーシ 2014年5月29日
カザフスタン 2014年5月29日
アルメニア 2014年10月10日
キルギス 2014年12月23日

(出典: Wikipedia ユーラシア経済連合)

Nobu
チャイコフスキー
ロシアの為替レートが今あまり良くないということも、経済同盟がもうひとつという理由かも知れない。

アジア太平洋諸国
(1)アジア太平洋地域全般
ロシアは,極東・東シベリアの開発促進のため,発展するアジア太平洋地域への統合を積極的に推進しており,2012年9月にウラジオストクにおいてAPEC首脳会議を開催。2016年5月には,ソチにおいて露ASEAN首脳会合を開催(ロシアでの実施は初)。
(2)中国
露中両国は互いを「戦略的パートナー」と規定し,首脳の頻繁な相互訪問により親密な関係をアピール。両国の二国間関係は,長年の懸案であった国境問題が2004年10月に解決されて以来,経済・軍事面を中心に発展。2010年以降,中国は,ドイツ・オランダ両国を抜き,ロシアにとって最大の貿易相手国となっている。
2012年以降毎年行っている共同海上演習を2016年には初めて南シナ海で,2017年には初めてオホーツク海で実施,同年末に最新兵器の対中武器輸出契約が開始されるなど,協力の深化が見られる。国連,BRICS(ブラジル,ロシア,インド,中国及び南アフリカ)や上海協力機構等,国際場裏における他国間枠組みでの連携も見られる。
(3)インド
2000年に戦略的パートナーシップを宣言。毎年1回の首脳会合開催について合意され,2017年6月に訪露したモディ首相はプーチン大統領と8回目となる首脳会談を実施。2009年以降,ロシアにとってインドは最大の武器輸出相手国。一連の要人往来を通じて軍事技術協力及び原子力協力を推進している。

(出典: 外務省HP・ロシア連邦(Russian Federation)基礎データ)

ここでも極東・東シベリアが出てくる!!
Yumi
そして、ソ連時代とは打って変わって、中国重視の姿勢。日本は、安倍首相が何度もプーチン大統領と会談しているのに、なかなか話もビジネスも進まない。
Nobu
チャイコフスキー
インドは人口が多く、今後発展する可能性があるので、ロシアの武器輸出は今後脅威になるかも知れないな。

中東
イランの核問題では,2015年7月の合意達成に積極的・建設的役割を果たす。
シリア情勢については,アサド政権の要請を受け,2015年9月30日にシリアに空爆を開始。2017年以降,トルコ,イランと共に政権・反政府勢力を集めたアスタナ会合や「シリア国民対話会議」の開催を主導する等,プレゼンスを発揮
トルコによる露軍機撃墜(2015年11月24日)を受け,トルコとの対立を深めたものの,2016年6月のトルコ大統領発書簡を受け,関係は正常化

(出典: 外務省HP・ロシア連邦(Russian Federation)基礎データ)

ロシアの歴史で「南下政策」とか「オスマン帝国」とか出てきた。
Yumi

ロシアと中東は、距離的にも近いし、同じ産油国でもあり、また対米国というところもある。
Nobu

チャイコフスキー
特に対立を深めるイランと米国の関係の中で、イランと長年核の平和利用について協力してきたというロシアの立ち位置が、今後注目される。

 

 ロシアの軍事

ロシア連邦軍
(1)軍機構
ロシア連邦軍は,3軍種(地上軍,海軍,航空宇宙軍)・2独立兵科(戦略ロケット部隊,空挺部隊)で構成される。運用面では,地理的に分割した西部,中部,南部,東部の4つの「軍管区」に権限を委譲し,各軍管区には,所在する3軍の通常兵器部隊を一元的に運用する「統合戦略コマンド」を設置,各軍管区司令官が統合戦略コマンド司令官を兼任する(戦略兵器部隊は指揮系統外)。また,北極圏を網羅的に所掌するため,西部軍管区から独立する形で北洋艦隊を中核に「北部統合戦略コマンド」を設置し,北洋艦隊司令官が北部統合戦略コマンド司令官を兼任する。
(2)総兵力

現役約90万人(準軍事組織「国境軍,国内軍他」約55万人を除く)
・地上軍:兵員約22.5万人(空挺部隊4.5万人を含む)
・海軍:兵員約15万人,潜水艦62隻,主要水上艦艇34隻,哨戒艇,機雷艇,両用艦艇等190機
・航空・宇宙軍:兵員約16.5万人,戦闘機等1176機
・戦略部隊:兵員約8万人(戦略ロケット部隊5万人を含む),ICBM313基,戦略原潜13隻,戦略爆撃機76機
・特殊部隊:兵員約0.1万人
・指揮支援要員:兵員約18万人

予備役約200万人

(3)東部軍管区

配備状況
・地上軍:軍管区内に4個軍司令部を配置
・海軍:潜水艦23隻(戦略原潜5隻を含む),主要水上艦艇7隻,作戦機約42機及び海軍歩兵
・航空・宇宙軍:作戦機286機

北方領土周辺:近年,2016年から2020年の東部軍管区(及び西部軍管区)における計画の実現として,北方領土及び千島列島周辺におけるロシア軍による軍事演習・調査・整備等の活動が活発化している。
・太平洋艦隊の基地設置の可否を調査するため,千島列島の松輪島への探検航海を実施(2016年4-9月,2017年6-9月)。千島列島中部に位置し,旧日本軍飛行場や大型艦艇揚陸に適した海岸等が存在する「松輪島」に飛行場及び滑走路が再建された。
国後島及び択捉島に地対艦ミサイル(2016年末)や無人機を配備
・ショイグ国防大臣は国家院において,「『クリル』防衛のため」年内に同地に1個師団を配備する旨表明した(2017年2月)。また,同大臣は日露2+2会談において,当該配備が第三国向けではなく国土防衛のためであり,沿海地方,アムール州,サハリン州が対象であると述べた(2017年3月)。

(出典: 外務省HP・ロシア連邦(Russian Federation)基礎データ)

東西冷戦時は米国と競っていた軍事力が、ソ連が崩壊して今はどんな感じなのかしら?
Yumi

調べてみたよ。ロシアは米国に次いで第2位だ。ロシアと中国を合わせると、米国も安心できない感じだね。日本が意外に上位に入っていて、びっくり。

世界の軍事力ランキング 2019年版

順位 国名 軍事力

指数

人口

(億人)

兵員

(万人)

航空戦力

(順位)

戦闘機

(順位)

戦車

(順位)

主要艦艇

(空母)

軍事予算

(億ドル)

1 米国 0.0615 3.3 214.2 13398 (1) 2362 (1) 6287 (3) 415 (24) 7160
2 ロシア 0.0639 1.4 358.6 4078 (2) 869 (3) 21932 (1) 352 (1) 440
3 中国 0.0673 13.8 269.3 3187 (3) 1222 (2) 13050 (2) 714 (1) 2240
4 インド 0.1065 13.0 346.3 2082 (4) 520 (4) 4184 (6) 295 (1) 552
5 フランス 0.1584 0.7 38.9 1248 (8) 273 (10) 406 (44) 118 (4) 405
6 日本 0.1707 1.3 30.3 1572 (6) 297 (8) 1004 (25) 131 (4) 470
7 韓国 0.1761 0.5 582.7 1614 (5) 406 (6) 2654 (9) 166 (1) 383
8 イギリス 0.1797 0.7 23.3 811 (15) 129 (19) 331 (49) 76 (1) 475
9 トルコ 0.2089 0.8 73.5 1067 (10) 207 (14) 3200 (7) 194 (0) 86
10 ドイツ 0.2097 0.8 20.9 613 (17) 122 (20) 900 (26) 81 (0) 491

(出典: BUSINESS INSIDER (Global Firepower))

Nobu

チャイコフスキー
ここには示されていない核兵器や細菌兵器もあるから、いずれにしても相手の力を冷静に判断して、戦争を起こさないようにすることが大事だ。

国防戦略等
(1)「ロシア連邦国家安全保障戦略」(2015年12月31日承認)
NATOの軍事活動を最も大きな脅威とし,米国によるMDシステムの欧州,アジア太平洋地域,中東への配備を世界の安全保障構造を侵食するものとして批判。一方で,中国との関係を世界及び地域的安定性を維持する重要な要素とし,その発展を追求するとしている。
(2)軍事ドクトリン(2014年12月25日改定)
軍事的な環境として,「軍事的危険性」や「軍事的脅威」が情報空間及びロシア内部にシフトする傾向にあるとの認識を示す。また,「軍事的危険性」として,「NATO東方拡大」,「MDシステム配備」,「グローバル・ストライク構想」等を列挙。核兵器については,核兵器は紛争抑止重要な要素であり,核兵器・大量破壊兵器による攻撃を受けた場合及び通常兵器による攻撃であっても,ロシアの国家の存続の脅威がある場合には,対抗手段として核兵器をしようする権利を留保する旨記載。
(3)「ロシア連邦軍,その他の軍,軍部隊組織及び期間の構築及び発展並びに防衛産業複合体の近代化の計画(プログラム)実現に関する」大統領令(2012年5月)

2020年に向け,ロシア連邦軍等における近代化装備,武器及び特殊器材の割合を70%とすること

核抑止戦力,航空・宇宙防衛手段,通信・偵察・指揮システム,電子戦システム,無人航空機システム,ロボット化された攻撃システム,近代的輸送航空機,精密兵器及び精密兵器への対抗手段,兵士の個人防護対策システムの開発

ロシア連邦の戦略的利益を防護するための,北極のロシア連邦領域及び極東を第一とする海軍の発展
国防省は,同大統領令を踏まえて策定した「2013年から2020年までの国防省活動計画」において,人員補充や装備導入等13項目に関する年ごとの目標値を設定し,軍改革を具体的に推進している。

(出典: 外務省HP・ロシア連邦(Russian Federation)基礎データ)

ここでも、NATOや米国を敵国、中国を味方国という扱いね。11
Yumi

新しい武器の割合を70%に増やすとも言っているので、軍事費を増やすという事かな?
Nobu

チャイコフスキー
ロシアはソ連時代から引き続いて、軍備・兵器・システムについては、米国に負けない技術を持って行こうという気持ちが強いのだろう。

軍改革等
(1)軍改革
ロシア国防省は,1994年及び1999年のチェチェン紛争,2008年のグルジア紛争の教訓を踏まえ,セルジュコフ国防大臣の就任を契機に軍改革を推進した。肥大化した軍機構を機能的な即応集団に変革することを念頭に,「コンパクト化」,「近代化」,「プロフェッショナル化」を掲げ,「軍の機構改編(統合運用,軍管区の統廃合)」,「装備の更新(2020年までに近代化装備率70%を追求)」及び「定員削減・兵役制度の変更(職業軍人比重の増加)」に取り組んできた。

軍機構:エリアごとの統合運用を実現するため,(従来の6軍管区から)4軍管区体制への移行(2010年12月)と併せ各軍管区に統合戦略コマンドを設置した。また,指揮系統や装備の調達維持に係る重複・無駄を排除するため3軍種・3独立兵科体制を構築した(2015年8月からは3軍種・2独立兵科)。

装備:老朽化が深刻であった軍の装備だが,2012年以降,3万以上の新型主要兵器が配備され,現在,最新装備率は即応部隊で58%を超えるに至った(航空・宇宙軍で66%,海軍で47%)。

定員・兵役:2000年には120万超であった定員を段階的に(将校を中心に)削減し100万人を切った。現在の現役兵力はおよそ83万人であり充足率は93%。一方,徴兵主体の兵役制度を改め,契約勤務制度(職業軍人)を導入し,職業軍人の比率上昇に努めた結果,職業軍人数は全体で38万4千人となり,下士官では100%を達成した。
(2)国防費
国防費は2010年以降増加の一途をたどっている。予算については,2015年の3兆2,740億ルーブルをピークに(2016年予算:3兆1,490億ルーブル,2017年予算:2兆8,360億ルーブル),油価下落等による財政状況を反映し減少に転じた。しかしながら,2016年は修正予算により増額(3兆8,889億ルーブル)したため,最終的な執行額は3兆7,750億ルーブルと前年比増となっている。

(出典: 外務省HP・ロシア連邦(Russian Federation)基礎データ)

兵員数は減らしているのね。その分、軍隊と兵器の質を上げるという方針。
Yumi

やっぱり国防費は増加しているんだ。でも、原油価格下落により、国の財政は厳しいんだね。
Nobu

チャイコフスキー
ロシアは国土が広く国境線も長いから、軍の在り方についてはその辺りも重要課題だ。

新START条約の発効
(1)発効
2010年4月8日,米露両大統領が署名。2月6日,ミュンヘンにおいて米露間で批准書が交換され,同日発効した(期限2021年2月)。
(2)概要

発効後7年間で,運搬手段(ICBM,SLBM,戦略爆撃機)を800基(機)(うち配備状態の運搬手段は700基(機)) に,戦略核弾頭数を1,550発にそれぞれ削減

履行状況確認のための検証手段について規定。

発効日をもってモスクワ条約に代わる(モスクワ条約は発効日をもって効力を停止)。

(出典: 外務省HP・ロシア連邦(Russian Federation)基礎データ)

新START条約の内容を見ると、「期限2021年2月・戦略核弾頭を1,550発に削減」となっているけど、この後はどうなるのかしら?
Yumi

米露間で有効な核兵器の軍縮に関する条約は、新START条約とINF条約だよね。米国は、ロシアはINF条約に違反しているって言ってるみたいだけど・・・
Nobu

チャイコフスキー
ロシア側も、米海軍がポーランドやルーマニアに配備したイージス・アショアはINF条約違反になるのではないかといっているな。

条約違反はもちろんダメ。変な所で意地を張ったり言いがかりをつけたりしないで、自国のことばかりでなく世界の平和を考えて欲しいです。
Yumi

 

 ロシアの経済

主要産業
鉱業(石油,天然ガス,石炭,金,ダイヤモンド等),鉄鋼業,機械工業,化学工業,繊維工業

(出典: 外務省HP・ロシア連邦(Russian Federation)基礎データ)

主要産業は、鉱工業ってことね。
Yumi

データをいくつか調べてみたよ。やはりロシアは、鉱工業が発展しているね。

原油の生産 (2018)

順位 国名 生産量

(百万トン)

1 米国 669.4
2 サウジアラビア 578.3
3 ロシア 563.2
4 カナダ 255.5
5 イラク 226.1

(出典: 帝国書院 (BP Web資料))

天然ガスの生産 (2018)

順位 国名 生産量(10億m3)
1 米国 831.8
2 ロシア 669.5
3 イラン 239.5
4 カナダ 184.7
5 カタール 175.5

(出典: 帝国書院 (BP Web資料))

石炭の生産 (2016)

順位 国名 生産量(千トン)
1 中国 3,410,604
2 インド 662,792
3 インドネシア 456,000
4 オーストラリア 413,200
5 ロシア 294,950

(出典: 帝国書院(Energy Statistics Yearbook 2016))

金鉱の生産 (2017)

順位 国名 生産量(kg)
1 中国 426,142
2 オーストラリア 301,000
3 ロシア 270,216
4 米国 237,000
5 カナダ 164,313

(出典: 帝国書院(MinearlsYearbook2017))

鉄鋼の生産 (2018)

順位 国名 生産量(百万トン)
1 中国 928,264
2 インド 106,463
3 日本 104,324
4 米国 86,607
5 韓国 72,464
6 ロシア 71,680

(出典: 帝国書院 (鉄鋼統計要覧 2019))

Nobu

チャイコフスキー
非常に分かりやすいデータだ。こうしてみると、ロシアだけが全分野で上位に入っていることが分かる。

GDP(2016年)
1兆2,807億米ドル

(出典: 外務省HP・ロシア連邦(Russian Federation)基礎データ)

GDPでもロシアはトップ5に入っているの?
Yumi

こちらも調べてみたよ。GDPで見ると、ロシアは思ったより下の順位だった。何故だろう。

世界各国のGDPランキング (2018)

順位 国名 GDP

(百万ドル)

1 米国 20,580
2 中国 13,368
3 日本 4,971
4 ドイツ 3,951
5 英国 2,828
6 フランス 2,780
7 インド 2,719
8 イタリア 2,076
9 ブラジル 1,868
10 韓国 1,720
11 カナダ 1,712
12 ロシア 1,657
13 スペイン 1,428
14 オーストラリア 1,420
15 メキシコ 1,222

(出典: IMF World economic database 2019 Oct)

Nobu

チャイコフスキー
なるほど、ドルで見たGDPでは、ロシアはトップ10に入っていないな。あとで為替レートも確認してみよう。

経済成長率

2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
8.1% 5.2% -7.8% 4.3% 3.4% 1.3% 0.6% -3.7% -0.2% 1.5%

(出典: 外務省HP・ロシア連邦(Russian Federation)基礎データ)

ロシアの経済成長率はマイナスの年もあるのね。何故かしら。
Yumi

2010年は、リーマンショックの次の年だね。ロシアも、資本主義経済の中に入っていることが分かる。
Nobu

チャイコフスキー
2015-2016年の経済成長マイナスについては、下の方の「経済状況」で説明する。

貿易(2017年)
(1)輸出:3,519億ドル (燃料等鉱物製品,鉄鋼,貴金属等)
(2)輸入:2,285億ドル (機械類,医薬品,衣類)
(3)主な貿易相手国:
輸出:上位から中国,オランダ,ドイツ,ベラルーシ,トルコ,イタリア
輸入:上位から中国,ドイツ,米国,ベラルーシ,イタリア

(出典: 外務省HP・ロシア連邦(Russian Federation)基礎データ)

ここでも中国が貿易相手のトップね。あとは、ヨーロッパが多い感じ。
Yumi

ロシアの貿易相手国についても、データを調べてみた。特に輸入については、中国の比率が高いのが分かる。

ロシアの輸出入相手国

順位 輸出相手国 率 (%) 輸入相手国 率 (%)
1 中国 10.1 中国 21.2
2 オランダ 10.0 ドイツ 10.7
3 ドイツ 7.1 米国 5.6
4 ベラルーシ 5.1 ベラルーシ 5.0
5 トルコ 4.9 イタリア 4.5

(出典: CIA The World Feedback (2017))

Nobu

チャイコフスキー
ベラルーシは関税同盟に入っており、また今は微妙な状態になっているが1999年にロシアとの間でベラルーシ・ロシア連合国家創設条約が結ばれている。ベラルーシからの輸出品目としては、乳製品や農業機械が多い。ミンスクトラクタは、世界的にも有名なトラクタだ。

為替レート
57.26ルーブル/ドル(2018年3月30日)

(出典: 外務省HP・ロシア連邦(Russian Federation)基礎データ)

この為替レートだけ見ても、意味が良く分からないわ。
Yumi

こちらも、ドルとルーブルの為替変動を調べてみたよ。2013年位からルーブルのレートが大きく変動して、今は2008年から見ると、4割以下になっている。


(出典: IMF Exchange Rate Archives)

Nobu

チャイコフスキー
つまり、ルーブルをドル換算すると、低い数値になるということだ。
そこで、先程のGDPの話だが、仮に先程のロシアのGDPのデータを2.5倍するとどうなるかな。

えーと、1,657に2.5をかけるから、4,143百万ドル・・・日本に次いで第4位!!
Yumi

チャイコフスキー
為替レートがすべてではないが、こんな落とし穴があるということだ。ロシアのGDPが必ずしも低いわけではないことを、頭に入れておいた方が良い。

経済状況(2018年3月)
石油・天然ガスなどの天然資源に経済的・財政的に依存するロシアでは、2015年,国際的な原油価格の低迷を受けて経済・財政状況が悪化した。
2014年以来,原油価格の低迷を受けて下落していたルーブルの対米ドルレートは油価の上昇に伴い2016年には徐々に回復し,2018年1月には2014年6月比で約58%まで回復。また,株価も2016年頭を底に,回復傾向。インフレ率は,2015年には食料品を中心に高い水準にあり12.9%であったが,2016年には5.4%,2017年は2.5%と落ち着きを見せている。こうした状況を受け,2016年の成長率は,2015年の成長率(マイナス2.8%)から改善し,マイナス0.2%となり,2017年は,1.5%のプラスとなった。

(出典: 外務省HP・ロシア連邦(Russian Federation)基礎データ)

こちらも、さっきの経済成長率のマイナスがあった2015年に関係するのね。
Yumi


為替レートと同じように、原油価格の推移を調べてみたよ。

(出典: The world bank-commodify Markets)

Nobu

チャイコフスキー
これも、一目瞭然だな。2015年に、原油価格が暴落している。

最近、また原油価格が下がっているので、今後どうなっていくかが気になるところだ。

 

 ロシアの気候

主な都市の気候データ

都市名 モスクワ サンクトペテルブルク ノヴォシビルスク ヤクーツク ウラジオストク (参考) 札幌
1月最高気温(平均℃) -4.0 -3.1 -12.1 -36.1 -8.0 -0.6
1月最低気温(平均℃) -9.1 -8.0 -20.9 -42.0 -15.3 -7.0
7月最高気温(平均℃) 24.3 23.0 25.4 25.1 21.2 24.9
7月最低気温(平均℃) 14.4 15.0 13.8 12.0 15.8 17.3
年間平均気温(℃) 5.8 5.8 1.7 -9.5 4.9 8.9
年間降水量(mm) 701 662 460 238 818 1,107
年間日照時間(hr) 1,731 1,633 - 2,228 2,093 1,740

(出典: Wikipedia)

やはり札幌よりも寒いんですね。ヤクーツクの冬は、人が住む気温じゃない!!
Yumi

気候は、農業に大きく関係するので、当然その気候に合った作物が作付けされているという事。でも、この気温では、作物も限定されて、ハウス栽培とか、南の方からの輸入とかになってしまいそう。
Nobu

気温だけでなく、降水量も少ないから、稲作はできなさそう。
Yumi

チャイコフスキー
当然、その土地の気候というのは、生活習慣や人間の精神に大きく影響を与えている。食事も、気候に合った食材や調理方法になるので、ロシア人の個性を考える上では、重要な要素だと言える。

 終わりに

Yumi
ロシアについて知らないことが多かったけど、データや歴史を勉強して、改めてロシアに興味がわいてきました!!

Nobu
ロシアの連邦構成主体や、他の国についても、データをまとめて資料を作っていきます!!

チャイコフスキー
今回は、ロシアの情報や歴史をまとめてみたが、機会があれば日露関係についても検証してみよう。

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