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キルギスってどんな国?
キルギスという国がどこにあって、どんな国か・・・日本人から見ると、正直あまりメジャーな国ではないというのが、本当のところでしょう。
キルギスの地理的な位置
キルギスは、中央アジア5ヶ国のひとつで、ユーラシア大陸の真ん中にあります。南東側は、中国と国境を接しています。
海はなく、高原と山岳地・湖(イシク・クリ湖)で国土が構成されており、古代中世では、遊牧民族の国でした。
中央アジア5か国は旧ソ連の構成国家で、現在は独立国家共同体(CIS)としてロシアの影響を大きく受けています。
一方で、隣接する中国とは、経済面での影響を多く受けています。
キルギスの統計データ
面積
198,500km2 (84位) ※ 本州よりちょっと狭いです。
人口
約590万人 ※ 北海道よりちょっと多いです。
首都
ビシュケク (人口約100万人)
GDP
PPP191.6億ドル(139位)
3,361ドル/人
通貨
ソム (≒1.3円/ソム)
キルギスの神話~日本人と兄弟~
キルギスに行くと、キルギス人から次のような言い伝えがあると聞きます。キルギスでは、みんなが知っている話です。
「かつてキルギス族がバイカル湖の近くに住んでいた頃、とある兄弟がいました。
魚が好きな兄は東へと旅立ち、日本人の祖となりました。
そして肉が好きな弟は西へ進んでキルギス族の祖となりました。
だからキルギス人と日本人は顔立ちが似ているんです。」
これは、日本の神話に出てくる、「海幸彦と山幸彦」のようですね。
自分は顔立ちはちょっと違うと感じましたが、ルーツをたどって行くと、繋がるところがあるのかも知れません。
なぜキルギスに行くことになったのか
自分は当時会社の海外営業の仕事をしていて、ロシアや東南アジアなど、新規市場開拓をしていました。
特にロシアへの推進は、ローカルの新聞やテレビにも取り上げられ、当社の推進活動が広く認知されるようになりました。
そんな中、JICAや札幌のコンサルなど各方面からも、ぜひ中央アジアでの展開を検討して欲しいという話が来るようになりました。
色々調べてみると、キルギスでは旧ソ連の設備をまだ使用しており、機械化や衛生面での近代化が必要であることが分かりました。この改善に当社の製品や技術が役立ちそうなことが分かりました。
そして紆余屈折はありましたが、キルギスの近代化に貢献できる内容のJICA案件を提案し、採択され、現地に行くことになったのです。
ちなみに、この写真は、キルギスでの活動中に現地の新聞記者から取材を受けているところです。
アイルバンク頭取との友情
JICAの事業には、現地の協力者、所謂カウンターパートが必要です。
コンサルやJICAとの協議の結果、農業省と金融関係から1名ずつ選出することになりました。
この事業は、キルギスとカザフスタンを対象国としており、二か国から計4名を選びました。
この4名とは現地で対応するだけでなく、実際に日本に来てもらい、現場も勉強してもらうという事業でした。
この写真は、その4名が来日して、銀座の寿司屋でお寿司を食べた時の写真です。
左からキルギス農業省カザフ金融カザフ農業省キルギス金融というメンバーです。
この来日期間中に、皆さんとは本当に仲良くなりましたが、特に右端のキルギス・アイルバンクの頭取であるエリキンさんとは、特別な友情で結ばれました。
今回のメインのエピソードは、このエリキンさんと休日に遊びに出かけた時のお話です。
アラアルチャ国立自然公園での出来事
キルギス渡航中の休日、エリキンさんから天山山脈の中腹にアウトドアも楽しめる所があるから、遊びに行かないかというお誘いがありました。
アラアルチャ国立自然公園は、ビシュケク郊外のキルギスアラトー山中に位置するキルギスにおける上高地と穂高連峰のような位置付けの自然保護区です。
舗装路が通じているため、登山者のみならず夏は一般市民や要人も避暑やバーベキューなどに訪れるようです。
もちろんOKと返事をして、会社の同僚二人も一緒に、エリキンさんの車で1時間ちょっと、日本の舗装道路とはちょっと違う道路を車に揺られて、現地に到着しました。
自然の中のゲル
そこは山と緑と川がある、自然の中でした。道路から少し歩くと、そこにはゲルがあり、エリキンさんの家族の皆さんが待っていました。
子供たちは外で楽しそうに走り回り、大人たちは集まって何かをしていました。
ゲルでのおもてなし
大人たちの方を覗いてみると、どうやら大鍋で何かを調理しているようです。
これは、自分たちをもてなしてくれる今日のメイン料理なのでしょう。
ちょっと覗いてみると、すごいものが目に飛び込んできました。
エリキンさんから羊を1頭おろすと聞いていましたが、こういう事だったんですね。
ゲルの中では料理が並べられていて、宴の準備が着々と進んでいました。
エリキンさんから、あなたは主賓だから真ん中の席に座るよう、促されました。
そこに着席すると、続々とエリキンさんの家族や親族の皆さんがゲルに入って来ました。
自分の右隣には、年配の方が何やら楽器を持って座っていました。
民族楽器・コムズ
この方は、エリキンさんのお姉さんのご主人で、親族の最年長者。
手にしているのは、コムズという3弦の伝統的な弦楽器とのことです。
そして、コムズを弾きながら、歌ってくれました。
おそらく、歓迎の意味もあるのでしょう。
言葉や旋律が良く分かりませんでしたが、貴重な体験でした。
そして、この方が自分より若いことが判明し、一同驚きました。
羊料理 ベシュ・バルマク登場
次に、先程外で調理していた、羊の料理が登場しました。
ベシュ・バルマクという、羊の肉を野菜と一緒に長時間煮込んで、塩だけで味付けしたキルギス料理です。
主賓である自分の所に運ばれて来たのが、これです。
驚きのあまりブレていますが、羊の頭ですね;;
この「頭」が大事であり、これから主賓がしなければならない儀式があります。
羊の目は、友情の証
その儀式については、写真の様にエリキンさんが手取り足取り教えてくれました。
まず、はさみを使って羊の耳を人数分切り分けます。
次に、羊の目玉を取り出します。
目玉から、黒目の部分を取り除きます。なんでも、黒目は毒なのだそうです。
そして、残った白目を二つに切り分けます。
ひとつは主賓が、そしてもう一つをこの中で主賓が次に会いたい人に渡します。
当然、自分はエリキンさんにそれを渡して、二人で羊の目玉を食べたのでした・・・
普通に観光でキルギスに来たら、絶対に体験できないことでした。
宴の始まり
儀式が終わると、ウォッカが出てきて、宴が始まりました。
自分はお酒があまり強くないので、事前にエリキンさんには飲めないよと言っておきました。
しかし、みんなお酒がまわり、歌って踊っての状態になると、どんどんお酒をすすめ始めました。
ビシュケクは標高800m位ですが、ここは標高1500m以上あり、気温が低いだけでなく気圧が低いのです。
当然、酔いがまわり易くなります。
押しの強い女性陣、特にエリキンさんの奥さんと妹さんは、すごく楽しかったらしく、ものすごく強くお酒をすすめて来ました。
そして、日本人3人は、次々にダウンして行ったのでした・・・
その様子を見ていたエリキンさんは、そろそろ帰ろうと声をかけてくれました。
そして、エリキンさんの車で、なんとかビシュケクのホテルに戻り、倒れるようにベッドに横になりました。
翌朝・・・
泥酔の後の深い眠りから目覚めたのは、翌朝ちょっと早い時間でした。
最初に感じたのは、部屋の中が酸っぱい匂いで充満している事。
ああ、やっちゃったか・・・と周りを見渡しても、特に汚れていません。
その臭いがする方へ少しずつ近づいていくと、レジ袋がありました。
口の大きいボトルの栓が破裂して、中の飲み物がレジ袋の中に充満していました。
昨日のかすかな記憶の中で、エリキンさんから二日酔いの朝飲むと、調子が良くなると渡されたものがあるのを思い出しました。
これは「マクスム」という、穀物を発酵させて作った炭酸飲料で、かなり酸っぱい臭いがします。
どうやら、昨日の帰りの車で揺られて圧が上がり、冷蔵庫に入れて保管しなかったため、夜間爆発してしまったようです。
今回のエピソードは以上です。
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