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10月2日の星空
2020年の秋は、10月1日の中秋の名月と10月6日の火星最接近が話題です。
その間の日になりますが、10月2日に晴天となり、ほぼ最接近の状態の火星を見ることが出来ました。
当日の星空は、以下のようになります。
(出典:国立天文台 天文情報センター)
夜8時頃、南西の空に輝いていたのは、木星と土星でした。
夕食後、ベランダに望遠鏡を出して両惑星を見てみましたが、シーイングが悪くゆらゆらと川の底を眺めているような感じでした。
その時に、ベランダからは既に月と火星が見えていました。
一度部屋に戻り、火星の高度が上がり、気流が安定するのを期待して待ちました。
月や惑星を見る時には、もちろん雲がないのが一番ですが、大気が安定していることも大変重要です。安定している日は、望遠鏡の倍率を思いっきり上げても、細かい所まではっきりと見えるものです。
ミラーレス一眼での火星撮影
夜10時半頃、ベランダに出てみると、引き続き良い天気でした。
出したままにしていた望遠鏡で火星を見てみると、大分大気の状態が安定して来ていました。
9月からずっとシーイングが良い日がなく、観測好機である木星・土星・火星の良いシャッターチャンスがなかったのですが、この時はその中では良い方でした。
自分が使用しているマイクロフォーサーズのデジカメは、惑星のような比較的暗くて小さい対象に、必ずしも向いている訳ではありません。
このような対象では、動画や沢山の画像(数百枚以上)から、コンポジット(スタック)して滑らかにした画像を作り、それを画像処理していくのが主流になっています。
しかし、普通にシャッターを切ると、大きな画面の中の本の小さい部分にしか惑星は写りません。
大きく映すために拡大率を上げると、シャッタースピードを長くしなければならず、大気の揺らぎの影響を受けてしまいます。
これらの事を色々考えて、撮影をしながら、自分のデジカメでのベストな撮影方法ではないかと考えたのが、以下の方法です。
1. 今主流の動画から良い画像を得る方法は、自分のデジカメの動画の機能が少なく一コマ毎の画質も悪い、MP4からAVIへの返還も必要等の事から、向いていない。
2. 画像をたくさん撮ると、データ量が大きくなり、スタックの際に時間がかかる。
3. 自分のデジカメでは、画像の大きさを最大5184x3888ピクセルから、最小1968x1968ピクセルに設定変更できる。ただし、シャッターを「超高速連写」にすると、3888x3888ピクセルの範囲を1968x1968ピクセルのデータサイズに変更して保存してしまう。「高速連写」だと、1968四方で切り出してくれるので、効率が良くなる。
4. シャッタースピードは、1/100Sより速くする必要がある。
5. 感度は、ISO1600までならそれほど劣化しない。
6. 以上をまとめると、下記設定になります。
(1) 画像サイズ 1968x1968ピクセルで切り出し
(2) 高速連写(H)
(3) ISO1600
(4) この条件になる拡大レンズは、XP3.8mm
下の画像は、この条件で撮影した850枚の画像の内の一コマです。
この画像を見ると、大気の揺らぎの影響を受けていて、火星自体まんまるではないことが分かります。また、かなり荒い感じです。
画像処理後
このようなぼんやりとした画像を使って、細かい模様を浮き上がらせる、RegiStax6.0というフリーソフトを使って、850枚の画像の内比較的良いものを重ね合わせて(スタックと言います)行きます。
そして、それをウェーブレット変換という特殊処理をして、惑星の模様をより鮮明に浮き上がらせます。
このソフトをまだ十分に使いこなしていませんが、自分なりに処理してみたものが下の画像です。
上の方に白くて小さな極冠が見えます。そこから下の方へ、深緑色の模様が、濃淡を持って広がっています。
もう少しシーイングが良ければ、この模様がシャープにより細かく出てくると思います。
実際の所、自分が使用しているデジカメでは、これ以上劇的に鮮明な映像を撮影するのは、難しいと判断しています。
ただ、自分は一般の方々が天体望遠鏡で気軽に星を楽しむお手伝いをしたいと考えていますので、入手しやすいデジカメでの撮影については、撮影方法を確立させていきたいと思います。
また、新器材(CMOSカメラ)を導入しましたので、近々より鮮明な画像を披露できると思います。
Youtubeに木星の動画をアップしました。こちらの方もどうぞ。
使用機材
鏡筒
ビクセン FL80S (8㎝フローライト屈折)
赤道儀
ビクセン スーパーポラリス
カメラ
Lumix GX8
拡大レンズ(アイピース)
Pentax XP3.8mm