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冬のロシアのサウナ【バーニャ ウォッカ 白樺】

 バーニャとは

ロシアの伝統的なサウナ(蒸し風呂)。多く、飲食できる小部屋や水風呂などが併設され、交流の場として利用される。

(出典: goo辞書)

バーニャというのは、引用にもあるように、ロシアのサウナの事です。おそらく、ロシア人特に男性は、大好きなんだと思います。

そのバーニャでの体験をお話しします。

 

 真冬のバーニャでの出来事

自分が初めてロシアを訪問した時の事です。

初日の夜はモスクワに泊まり、翌日お客様の会社があるヴォロネジへ移動。

ヴォロネジは、モスクワから南へ500km、飛行機で1時間強の所にある都市です。またロシア人に「ボロネジ」「ヴォロネジ」と言っても、発音の関係でなかなか通じないことが多いです。

日本人にとっては、ほとんどの人が知らない、それどこっていう感じですよね。

ヴォロネジ市

ヴォロネジ市は、ヴォロネジ州の州都で、人口は100万人強。
ドン川支流のヴォロネジ川支流にある港湾都市で、かつては造船所もあった。
第2次世界大戦では、ドイツ軍との間に激しい戦闘のあったところで、200日以上も占領されていたこともある。
本当かどうかわからないが、
「戦後産業が栄え労働者がたくさん集まったが、男性ばかりで非常にバランスが崩れたので、共産党がソ連全土から若くてきれいな女性を集めた。そのため、美人が多い街である。」
という話をされた。

実際、訪問した工場の壁には、戦争関係と思われる少しセピア色のモノクロームの写真が多数掲示されていました。

訪問先の会社での打ち合わせが夕方に終了し、一緒に食事でもという話になりました。

またロシア料理のフルコースか、それともウォッカでの大宴会かと半分不安な気持ちを持ちながら、お客様が準備してくれたマイクロバスに乗り込みます。

外は‐30℃、10人分の息の湿気で、車の窓は霜で真っ白になりました。

霜を指で溶かしながら外の景色を見ていると、何だか郊外の方に向かっている気がする・・・だんだん灯りが少なくなる・・・なかなか会場に到着しない・・・

お客様の会社を出て30分弱で、バスはログハウスの前に止まりました。

バスから降りて、寒い寒いとログハウスのドアを開けると、ログハウスの主らしきおじさんが立っていました。中に入るなり、「服を脱げ」と言っているようです。

そう、そこはロシア式のサウナ、「バーニャ」だったのです。川のそばのログハウスにはサウナが装備されており、夏はサウナの後川で水を浴び、飲食をして宿泊する。ロシア人の楽しみの一つです。

バスタオルを腰に巻いた日本人とロシア人10名は、早速サウナ室へ。そこへ、主が登場します。

ロシア人は、首にタオルを巻けと言っているようです。周りの真似をして、首にタオルを巻くと、主はおもむろに白樺の木を水に浸してから、ストーブに水をかけます。

すると、水は蒸発し、水蒸気の煙となります。その熱い事!!

水蒸気は軽いので、上の方から熱くなって行きます。なるほど、首にタオルを巻くのは、顔や首など体の上の方を水蒸気の熱さから守るためだったのです。

主は、白樺の木で体を叩いたり、ストーブで水蒸気を発生させたり、こちらから見ると好き放題な事をしていきます。サウナの中は、上の方からどんどん熱くなり、日本人はひとりひとりリタイヤしていきます。

気付くと、残っているのは自分とロシア人だけ。ここでロシア人に負けるわけにはいかないと変な意地を張り、我慢を続けます。

すると、ロシア人も限界に来たのか、外に出ようと身振りで誘います。

外は本当の外でした。おそらく、夏場は川にダイブするのでしょうが、今は‐30℃。

裸のまま、雪の中にダイブしています。自分も勇気を出してやってみたのですが、やはり冷たくて寒い!!

急いで中に入り、シャワーを浴びて大部屋に行くと、大皿につまみのような料理が3つ並べられており、更にウォッカの瓶も。いよいよ、大宴会の始まりです。

ショットグラスのような小ぶりのグラスにウォッカ(当日の銘柄はアルコール50度)をストレートで注ぎます。そして、誰かが口上を言います。

そして、「ウラ・ウラ・ウラ!」の掛け声で、一気飲み。これがロシア風の飲み方です。

大体感じとしては、その1杯が水割り1杯という所でしょうか。これが続いていきます。

自分もやれと言われて、口上を日本語で述べて通訳してもらい、「ウラ・ウラ・ウラ!」をやりました。

つまみはどんなものだったか覚えていないのですが、一皿はかなり塩味が強いエビ(ザリガニ?)だったのは覚えています。

しばらくウォッカを飲んだ(飲まされた)あと、ロシア人がまたサウナへ行こうと言い出しました。

日本人で付き合ったのは、自分だけ。我慢比べの始まりです。

サウナ→雪にダイブ→シャワー→ウォッカ

という、悪夢のようなルーティーンが繰り返されていきます。

元々お酒に強くない自分は、3ルーティーンでダウンして、大部屋の片隅にあったリクライニングの背もたれのある椅子で寝てしまいました。

どれ位時間が経ったでしょうか、ふと目を覚ますと、ロシア人が自分の周りにいて、みんな握手を求めてきました。どうやら、「日本人の中で倒れるまで付き合ってくれたのは、お前だけだ」「お前は友達だ」ということを言っているようです。

幸い、急性アルコール中毒で病院行きという事にはなりませんでしたが、大変な夜を過ごしました。

ロシア人男性の平均寿命があまり長くない理由が、理解できた夜でもありました。

 

 おわりに

ロシアでバーニャに誘われたら、まずメンバーを確認しましょう。

これはヤバいと思ったら、丁重に断るか、少なくても体を壊してお酒を禁止されていると言ってから付き合いましょう。

自分の中では、既に良い思い出になっていますが、心臓麻痺や急性アルコール中毒で命を落としては、シャレになりません。

ただ、こういう事をするロシアやロシア人を、嫌いではありません(^^)v

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